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中野BCと富士白蒸留所を知る|和歌山の木々がジンになるまで

「槙-KOZUE-(こずえ)」はコウヤマキ。「香立-KODACHI-(こだち)」はスギとヒノキ。ジンの原料としては少し意外に感じる木々を選んだのが、和歌山県海南市の中野BCです。
この造り手を知る入口は、会社の年表を丸ごと覚えることではありません。梅酒や日本酒も手掛ける会社が、なぜ木の香るジンを造るのか。そのつながりが分かると、ボトルの名前だけでは見えなかった選び方が生まれます。
会社名とシリーズ名を分けておこう
中野BCは、和歌山県海南市藤白に拠点を置く酒類メーカーです。日本酒の「長久」や梅酒などを扱い、ジンは「富士白蒸留所」シリーズとして展開しています。メーカーの商品案内でも「富士白蒸留所」を蒸留酒部門のブランドと説明しています。[1][2][7]
ここで大切なのは、中野BCと富士白蒸留所を別々のメーカーとして数えないこと。購入先の商品名にどちらが書かれていても、まずは造り手とシリーズの関係で捉えると迷いません。この記事では、企業としての中野BCと、そのスピリッツのシリーズを分けて紹介します。
スピリッツは、ジンなどを含む蒸留酒の区分です。同じシリーズでも、すべてがジンとは限りません。「香雪-KAYUKI-(かゆき)」は梅スピリッツであり、木を使う2つのジンと同じ種類のお酒として選ばないようにしましょう。[2][3]
出発点は醤油店。酒造りへ移った会社
公式の沿革によると、始まりは1932年の中野醤油店です。1949年には現在の場所に移り、焼酎「富士白」を製造。1952年には醤油の製造をやめて焼酎へ専念し、1958年に日本酒「長久」、1979年に梅酒の製造へと進みました。法人としての設立は1961年で、創業年とは異なります。[1]
この歩みから見えるのは、ジンだけを造るために始まった会社ではない、ということです。発酵や蒸留、梅を扱う仕事が重なって、今の製品につながっています。1990年には食品科学研究所も設立しています。[1]
沿革を知ったうえでジンを見ると、「和歌山らしい素材を並べただけなのか」という疑問にも別の視点が生まれます。原料の土地らしさに加え、その素材を酒にするための経験を持つ会社なのです。
「槙-KOZUE-」は、植物から始まった
「槙-KOZUE-」の開発者が残した記事では、コウヤマキを酒に浸けてみるという発想が試作のきっかけとして紹介されています。身近な植物からお酒の方向を探った経緯です。[4]
コウヤマキの特徴を生かすために、ベースとなるアルコールには余分な香りを求めなかったという説明もあります。梅酒に使うホワイトリカーの経験が、この選択の背景にあります。[4]
ボタニカルとは、ジンに香りを付ける植物素材のこと。「槙-KOZUE-」ではコウヤマキに温州みかんの皮、レモンの皮、山椒の種、ジュニパーベリーを組み合わせています。[2][4] 単一の木の香りをそのまま再現する飲み物ではなく、複数の素材で一つのジンを組み立てる考え方です。
「香立-KODACHI-」で変わるのは、木の選び方
「香立-KODACHI-」では、木の素材にスギの葉とヒノキの木を使います。柑橘や山椒も組み合わせるため、「槙-KOZUE-」と共通する土地の素材を持ちつつ、中心に置く木が変わります。[5]
公式には、スピリッツの蒸留に乙類焼酎用の減圧蒸留器を使うことも紹介されています。減圧蒸留は、圧力を下げて蒸留する方法です。ジンのために素材を選ぶだけでなく、それまでの酒造りの設備や技術を生かす点にも、中野BCの背景が表れています。[5]
なお、スギやヒノキを使うという説明は、木の樽で熟成したジンという意味ではありません。「どんな木か」と同時に「どのように素材として使うのか」を意識すると、見た目や名前から香りを決めつけずに済みます。
3つの名前を、買う目的で整理する
| 名前 | 種類・度数 | 選ぶ入口 |
|---|---|---|
| 「槙-KOZUE-」 | ジン・47% | コウヤマキと柑橘に興味がある |
| 「香立-KODACHI-」 | ジン・47% | スギとヒノキを使う設計が気になる |
| 「香雪-KAYUKI-」 | 梅スピリッツ・45% | ジン以外の蒸留酒も知りたい |
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「槙-KOZUE-」は、木の素材を使うジンの入口としてコウヤマキから選ぶ一本。「香立-KODACHI-」は、スギとヒノキという別の組み合わせに進む選択肢です。どちらが優れているかではなく、素材の違いから選べます。
「香雪-KAYUKI-」は梅酒を蒸留したお酒で、ジンとは別の方向から造り手を知る候補です。梅酒という名前から想像する甘さと、そのまま同一視しないことが大切です。[2][3]
自宅では、最初のジン一本についてトニックの銘柄と比率をメモしておくだけでも十分です。次の一本を試す機会があれば、同じ条件を基準にすると木の素材の違いへ目を向けやすくなります。シリーズを一度に全種類そろえる必要はありません。
購入前に見ておきたい現在の案内
中野BCは2026年8月の工場火災後、9月14日の公式発表で、一部設備の応急復旧と生産の一部再開を報告しています。同時に、通常の生産体制には戻っておらず、一部商品では納期の遅れが続く可能性も案内しています。[6]
2026年10月23日の直営通販では、「香立-KODACHI-」の単品に在庫切れ表示があります。[5] ただし、その商品の欠品理由を火災と結び付けて断定することはできません。贈り物など期限のある購入では、商品ページの在庫だけでなく、発送見込みも確認してから選びましょう。
木の名前を一つ知ることからでも、この造り手は楽しめます。和歌山の素材と、酒造りを続けてきた会社の工夫。その両方が交わるところに、中野BCのジンを選ぶ面白さがあります。
出典・参考資料
確認日:2026年10月23日。

