ロンドンドライジンとは? 産地より先に知っておきたい、造り方の意味

ジュニパーベリーと種、針葉樹の枝

次にジンを選ぶとき、ラベルの「LONDON DRY」に少し注目してみませんか。ロンドン生まれのジン、と読みたくなる名前ですが、これは主に造り方を知る手掛かりです。意味が分かると、いつものボトルにも新しい発見があるはず。難しい製法の話は、一杯を選ぶのに役立つところから見ていきましょう。

ロンドンドライは、世界のどこでも造れます

まず知っておきたいのは、「ロンドンドライ=ロンドンで造ったジン」ではないこと。ビーフィーターの公式FAQでも、製造工程を表す呼び方で、世界のどこでも造れると説明されています。ボトルの産地を知りたいときは、生産国や蒸溜所の所在地を見てください。[1]

もちろん、実際にロンドンで造るロンドンドライもあります。ビーフィーターはその一つです。「どこで造るか」と「どう造るか」の両方を知ると、同じラベルの言葉から、造り手の話まで見えてきます。[4]

店頭でこの名前を見つけたら、まずは製法のタイプだと捉えれば大丈夫。次に香りの説明を読み、作りたい飲み物に合いそうな一本を探しましょう。地名の知識より、今飲んでみたい一杯が選ぶ出発点になります。

ジンの中でも、造り方の条件を絞ったタイプ

EU規則2019/787の分類では、ジンの中に蒸留ジンがあり、さらに条件を絞ったものがロンドンジンです。買うときの手掛かりになる部分を並べると、次のように整理できます。[2]

呼び方大きな違いボトル選びの手掛かり
Ginジュニパーの風味が中心となるジン香りの説明から好みを探す
Distilled ginジュニパーなどとともに蒸留する工程を含む植物をどう扱うかにも注目する
London gin/London dry gin天然の植物とともに蒸留して香りを付け、着色や加える材料などにも条件がある蒸留で香りを作る仕事に注目する

ロンドンジンでは着色が認められず、甘味付けの上限は最終製品1L当たり0.1g(転化糖換算)。蒸留後に自由に味を足すのではなく、植物とともに蒸留する工程が香りを作る大切な部分になります。[2]

製法の説明で見かける「70%以上」は、製造途中の蒸留液に関する条件です。お店で売られるボトルの強さとは別なので、飲むときの度数はラベルのアルコール分を見ましょう。数字が二つ出てきても、これで読み分けられます。[2]

ドライでも、柑橘や花の香りを楽しめる

「ドライ」と聞くと、きりっとして香りも控えめなものを想像するかもしれません。けれど、ここでのdryは甘味付けに関わる言葉。柑橘や花を思わせる香りを持つロンドンドライもあり、選べる香りはさまざまです。[1][2]

柑橘の香りが好きならレモンやオレンジの説明を、ハーブが気になるならジュニパーや香草の説明を読んでみてください。同じLondon Dryの文字が付いていても、自分が手を伸ばしたくなる一本はきっと違ってきます。

家でジントニックにすると、トニックの甘みとほろ苦さも加わります。甘さを控えたい日にはトニックの一部を炭酸水に、香りをそのまま楽しみたい日には無糖のソーダ割りに。ジンのタイプが分かったら、次は割り方で好きな一杯に近づけていきましょう。

クラフトジンとロンドンドライは、両方名乗れる

「クラフトにするか、ロンドンドライにするか」と迷ったら、両方に当てはまるジンもあることを思い出してください。例えばシップスミスは、ロンドンドライを追求するクラフトジンとして紹介されています。二つの言葉は、対立する分類ではないのです。[3]

クラフトという言葉からは造り手の工夫を、ロンドンドライという言葉からは製法を見ていく。そう読むと、一つのボトルを知る入口が増えます。蒸溜所の紹介を読んでから飲むのが好きな人には、こうした背景も一本を選ぶ楽しみになるでしょう。

タイプの名前は、品質の順位表ではありません。同じロンドンドライでも、植物の種類や香りの取り出し方が違います。次の二つの例を見比べると、その面白さがもう少し具体的になります。

柑橘の定番か、蒸気で香りを取り込む一本か

初めてのジントニックを作るなら、ビーフィーターとボンベイ・サファイアはどちらも気になる候補です。レモンやオレンジを入口に選ぶか、造り方に興味を持って選ぶか。選んだ理由を一つ持つと、飲む前から楽しみが増えます。

ビーフィーター:レモンやオレンジの香りが好きな人へ

ビーフィーターは、レモンやオレンジの皮を含む9種のボタニカルを約24時間浸し、その後蒸溜します。親しみのある柑橘を手掛かりに、定番のジントニックを作りたい人におすすめです。個別記事では、国内で選ぶ容量・度数から、家での飲み方まで紹介しています。[4]

ビーフィーター ジン40度の特徴と飲み方|レモンのジントニックを自宅で記事を読む →

ボンベイ・サファイア:香りを取り出す方法にも興味がある人へ

サファイアは10種類の植物に蒸気を通して香りを取り込む、ヴェイパー・インフュージョンを使います。植物を浸す方法との違いを知ると、グラスの香りにも興味が湧いてきますね。ライムを添えたジントニックから楽しみたい人は、こちらの作り方もどうぞ。[5]

家でジントニックを始めるなら、「ボンベイ・サファイア」から。記事を読む →

ラベルを読むなら、作りたい一杯から

ロンドンドライの意味が分かったら、次は自分の買い物に使ってみましょう。店頭では、この順番で見ると選びやすくなります。

  1. 作りたい一杯を決める。ジントニックならトニックと柑橘、ソーダ割りなら炭酸水も用意します。
  2. 気になる香りを探す。柑橘、ジュニパー、花、ハーブなど、好きな言葉を手掛かりにします。
  3. 造り手の話を読む。London Dryの表示や蒸溜所の紹介は、その一本を知る入口になります。
  4. 容量・度数・送料込みの価格を確認する。飲み方と予算に合う仕様を選びます。

名前の意味を覚えたら終わり、ではなく、「同じタイプでも、次の一本はどう造るのだろう」と興味を広げられる。それがロンドンドライを知る楽しさです。いつものボトルから、ラベルをもう一度見てみませんか。

材料・ボトルの購入先を確認する

気になったボトルは、容量・度数をそろえて購入条件を比べてみてください。

出典・参考資料

資料確認:2026年10月27日。

  1. Beefeater公式FAQ:London Dryとdistilled gin
  2. EUR-Lex:規則(EU)2019/787 付属書I 第20〜22分類
  3. サントリー:シップスミス ロンドンドライジン
  4. サントリー:ビーフィーター
  5. Bombay Sapphire公式:製品と製法